Message
「どうして、耳がきこえなくなる前に、もっとちゃんと面倒をみてくれなかったの」
当時、高校3年生だったわたしが、
ひょんなことから喧嘩になった母にぶつけたことばです。
わたしは幼少の頃にはすでに耳がきこえず、
両耳に補聴器を装用しながら、幼稚園や小学校に通いました。
家族も先生もお友だちも、まわりは誰も補聴器をしておらず、
「わたしだけ、ひとり、ほちょうきをつけているんだな」と、ぼんやり認識しながら、教室で授業を受けたり、かけっこではクラスの誰よりも速かったり、放課後にはピアノや書道を習ったり。
富士山に見守られながら、のびのびと育ちました。
「どうして、耳がきこえなくなる前に、もっとちゃんと面倒をみてくれなかったの」
冒頭の言葉を、口論中、18歳の私に不意にぶつけられ、何も言わず、ただ黙って聞いていた母。
それから、数ヶ月経ったある日のことです。
学校行事の一環で、高校卒業を控えた私たちが、「両親からの手紙」をそれぞれ受けとる機会がありました。そっと開いた手紙に綴られた、母からのメッセージ。
『あの日、あなたに言われたことばは、
今でもひとりになると考えてしまいます。耳のきこえのことです。・・・ごめんなさいね』
ごめんなさいね、という言葉を目にしたその時、
わたしは、仮にどんな理由があったとしても
自分の耳がきこえないということについて、
他の誰を責める資格もないことを、悟りました。
10代のわたしにとって、とても大きかった、「耳がきこえない」という事実。
受験を経て入学した中学・高校で、今でも親交の続く素敵な友人や先生方との出会いに恵まれるものの、年々理解が難しくなる授業や人間関係に悩んだ時期。この頃には、きこえない耳が、自分らしい感性や価値観を授けてくれる点は十分認識していましたが、「まわりの人より、努力すべき自分」を強いる重たいものでもあったかもしれません。
そんな日々の中、
心の底に知らずしらず積もったモヤモヤした気持ちを、少し乱暴ではあったけれど「ことば」にして母にぶつけたことで、わたしは、長年、フタをしていた自分自身の気持ちにはじめて向き合えたのです。
なんで、わたしだけがこんな大変な思いをしないといけないんだ、
という、誰にも言えなかった憤りと悲しみに。
そうして、その時何も言わずに、
わたしのやるせない思いをただ真っ直ぐに受けとめようとしてくれた母のおかげで
このきこえない人生は、わたしが “授かった”もの
という大切なことに気づき、そして同時に、
このきこえない人生を、生ききる
と、自分自身に誓うことができました。
きこえない耳と人生とを一身に受けとめ、主体的に生きる覚悟を決める。
かつてのわたしが、 “New me”(新しいわたし) に出逢った、
かけがえのない瞬間です。
ひとは、心を開いて「本音」「ことば」を伝えられる相手がいて、
自分の「思い」や「自分自身」をはじめて実感することができます。
そして、ほんとうの自分を知る/感じることができた先には、それまでにさまざまな経験や感情を味わったからこそ拓けてくる新しい道と、見えてくる彩り豊かな景色があります。
働くこと、学ぶこと、そして、自分を生きること。
よりあなたらしさに満ちた日々を、
自身のみずみずしい感性で選びとり、行動していく。
かつてのわたしが、あの日、
母に思いを知ってもらったことで新たな自分に気づき、
きこえない困難を「自分らしく生きる」原動力に変えていけたように、
あなたが、“New me”と交わり、
新しい風を感じながら、向かいたい方へ次の一歩を踏み出す。
be Newme! のセッションがその一助になれば、幸せです。
ご縁に感謝をこめて。 Yuki
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自らのきこえない人生経験や 企業で人材開発・多様性推進にたずさわる職務経験を生かし、現在、Well-beingライフクリエイター/サポーターとしても活動中の Yuki が提供している、個人向けのサービスです。あなたにとって、より自由で、みずみずしい自分らしさを発揮していく一助になれますように!
Yukiとの 1on1または少人数グループでの対話セッション.
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